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在宅ワーク・パートの社会保険|加入条件「106万・130万の壁」とメリット・デメリットを徹底解説【2025年最新情報】

「在宅ワークでパートを始めたけど、社会保険ってどうなるの?」

「扶養内で働きたいけど、いくらまで稼いで大丈夫?」

「106万円とか130万円の壁ってよく聞くけど、具体的に何?」

在宅ワークでパートタイムとして働く方が増える中で、社会保険に関する疑問や不安を持つ方は少なくありません。
特に、収入の「壁」と言われる金額を超えると、社会保険への加入が必要になり、手取り額や働き方に影響が出ることがあります。

この記事では、在宅ワークでパートとして働く方向けに、社会保険の基本的な仕組み、加入が必要になる条件(特に「106万円の壁」「130万円の壁」)、加入するメリット・デメリット、そして注意点について、2025年5月現在の最新情報に基づき、わかりやすく解説します。

目次

そもそも社会保険とは?パートが加入する保険の種類

社会保険は、病気、ケガ、高齢、障害、失業などに備えるための公的な保険制度の総称です。
パートタイム労働者が主に関わる社会保険には、以下のものがあります。

  • 健康保険
    • 内容
      業務外での病気やケガの治療費の一部(原則3割負担)や、出産育児一時金、高額療養費制度などが利用できる医療保険です。
    • 種類
      主に大企業の従業員が加入する「組合健保」や、中小企業の従業員が加入する「協会けんぽ」などがあります。

  • 厚生年金保険
    • 内容
      国民年金(基礎年金)に上乗せされる公的年金制度です。
      老後の「老齢厚生年金」だけでなく、万が一の際の「障害厚生年金」や「遺族厚生年金」も保障されます。

この2つを合わせて「狭義の社会保険」と呼ぶことが一般的で、パートタイム労働者の加入義務について議論される際は、主にこの健康保険と厚生年金保険を指します。

【その他、働く上で関わる保険】

  • 雇用保険
    失業した場合の失業手当(基本手当)や、育児休業給付金、介護休業給付金などを受け取るための保険です。
    加入条件は社会保険とは異なります(週20時間以上の労働、31日以上の雇用見込みなど)。

  • 労災保険(労働者災害補償保険)
    業務中や通勤中のケガ、病気、死亡などに対して給付を行う保険です。
    原則として、従業員を一人でも雇用する事業主は加入義務があり、保険料は全額事業主負担です。

この記事では、特に加入条件が複雑な健康保険厚生年金保険について詳しく解説していきます。

在宅ワーク・パートの社会保険 加入条件 対象?

在宅ワークであっても、パートタイム労働者が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する必要があるかどうかは、勤務先の状況や自身の働き方によって決まります。

勤務先が社会保険の適用事業所であること

まず、ご自身が働いている(または働く予定の)会社が、社会保険の「適用事業所」であることが前提となります。

  • 適用事業所とは?
    • 強制適用事業所
      株式会社などの法人、または常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(一部業種を除く)。
      ほとんどの会社はこれに該当します。
    • 任意適用事業所
      上記以外でも、従業員の半数以上の同意を得て申請し、厚生労働大臣の認可を受ければ適用事業所となることができます。

パート・アルバイトの加入基準 2つの「壁」を理解する

適用事業所で働くパート・アルバイトの方の社会保険加入基準は、主に以下のステップで判断されます。

① 週の所定労働時間と月の所定労働日数が正社員の「4分の3以上」

まず、ご自身の契約上の労働時間・日数が、同じ事業所で働く正社員(通常の労働者)の「4分の3以上」 である場合は、原則として社会保険の加入対象となります。

  • )正社員の所定労働時間が週40時間、月の所定労働日数が20日の場合
    • 週の所定労働時間 40時間 × 3/4 = 30時間以上
    • 月の所定労働日数 20日 × 3/4 = 15日以上
    • この両方を満たす場合は、年収に関わらず加入対象となります。

② 「4分の3未満」でも加入対象となる場合「106万円の壁」

週の所定労働時間や月の所定労働日数が正社員の「4分の3未満」であっても、以下の5つの条件をすべて満たす場合は、社会保険の加入対象となります。

これが、いわゆる「106万円の壁」と呼ばれるものです。(年収換算で約106万円を超えるケースが多いため)

  1. 週の所定労働時間が20時間以上であること
    • 契約上の労働時間で判断されます。残業時間は含みません。

  2. 月額賃金が8.8万円以上であること(=年収 約106万円以上)
    • 対象となる賃金
      基本給や諸手当を含みます。賞与や残業代、通勤手当などは含みません。
    • 計算方法
      月額賃金=時給 × 週の所定労働時間 × 52週 ÷ 12ヶ月
    • 年収換算
      月額8.8万円 × 12ヶ月 = 105.6万円 となるため、「106万円の壁」と呼ばれます。

  3. 雇用期間が2ヶ月を超える見込みがあること
    • 当初の雇用契約が2ヶ月以内でも、更新の可能性がある場合は対象となります。
      (以前は1年以上の見込みでしたが、現在は要件が緩和されています)

  4. 学生ではないこと
    • 夜間、通信、定時制の学生は対象となります。休学中の学生も対象です。

  5. 勤務先の従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が51人以上であること
    • 【重要:2024年10月からの変更点】
      以前は101人以上でしたが、2024年10月からは従業員数51人以上の企業に対象が拡大されました。
    • ※従業員数50人以下の企業でも、労使の合意があれば任意で加入できます。

【ポイント】

この「106万円の壁」は、ご自身の意思に関わらず、条件を満たせば強制的に加入となります。

③ 配偶者などの扶養から外れる基準 「130万円の壁」

上記の「106万円の壁」の条件を満たさない場合でも、年収が130万円以上になると、配偶者などの社会保険の扶養から外れる必要が出てきます。これが「130万円の壁」 です。

  • 対象
    上記①②の条件を満たさず、勤務先の社会保険に加入できないパートの方。

  • 基準
    • 年収130万円以上(60歳以上または障害者の場合は年収180万円以上)の見込みがある場合。
    • 交通費などの非課税収入も年収に含まれます。
    • 月収ベース(130万円÷12ヶ月≒108,334円)で判断されることもあります。

  • 結果
    • 配偶者等の健康保険の被扶養者資格を喪失します。
    • 自身で「国民健康保険」と「国民年金」 に加入し、保険料を全額自己負担で支払う必要があります。

【注意】

  • 「106万円の壁」は勤務先の社会保険(厚生年金・健康保険)への加入基準。
  • 「130万円の壁」は配偶者等の社会保険の扶養から外れる基準。

在宅ワーク特有の注意点はある?

社会保険の加入条件は、基本的に働き方(雇用契約の内容) で判断されるため、在宅ワークであるかオフィスワークであるかは直接関係ありません。

  • 重要なのは契約内容
    在宅ワークであっても、上記の労働時間・賃金・雇用期間などの条件を満たせば、社会保険の加入対象となります。

  • 労働時間管理
    在宅ワークの場合、労働時間の管理方法が重要になります。
    タイムカードがない場合でも、PCのログや自己申告など、会社が定めた方法で正確な労働時間を把握・管理する必要があります。
    契約上の所定労働時間があいまいであったり、実態と乖離があったりすると、加入判定に影響が出る可能性もあるため、会社としっかり確認しておくことが大切です。

パートが社会保険に加入するメリット・デメリット

社会保険への加入は、手取り収入が減るという側面だけでなく、将来や万が一の備えが手厚くなるというメリットもあります。
両方を理解した上で、ご自身の働き方を考えましょう。

社会保険に加入するメリット

  1. 将来の年金受給額が増える
    • 厚生年金の上乗せ
      国民年金(基礎年金)に加えて、厚生年金が上乗せされるため、老後の年金受給額が増えます。
      加入期間が長く、収入が多いほど年金額も増えます。

  2. 手厚い健康保険給付
    • 傷病手当
      病気やケガで連続4日以上仕事を休み、給与が支払われない場合に、給与の約3分の2が最長1年6ヶ月間支給されます。これは国民健康保険にはない制度です。
    • 出産手当金
      出産のために仕事を休み、給与が支払われない場合に、給与の約3分の2が支給されます(産前産後期間)。
      これも国民健康保険にはありません。
    • その他、高額療養費制度の自己負担限度額なども、所得によっては国民健康保険より有利になる場合があります。

  3. 保険料の半分を会社が負担してくれる
    • 健康保険料と厚生年金保険料は、従業員と会社が半分ずつ負担(労使折半)します。
      国民健康保険料と国民年金保険料は全額自己負担なので、同じ収入であれば自己負担額は社会保険の方が少なくなるケースが多いです。

  4. 障害年金・遺族年金の保障が手厚くなる
    • 万が一、病気やケガで障害が残った場合の「障害年金」や、亡くなった場合に遺族に支払われる「遺族年金」も、国民年金のみの場合に比べて厚生年金に加入している方が手厚くなります(障害厚生年金・遺族厚生年金)。

  5. 社会的信用度が上がる可能性
    • ローン審査などで、社会保険に加入していることが有利に働く場合があります。

社会保険に加入するデメリット・注意点

  1. 手取り収入が減る
    • 保険料の天引き
      給与から健康保険料と厚生年金保険料が天引きされるため、同じ収入でも手取り額は加入前より減ります。
      これが「壁」を意識する最大の理由です。

  2. 扶養から外れることによる世帯全体への影響
    • 配偶者手当の喪失
      配偶者の会社から支給されていた「扶養手当(家族手当)」などがなくなる可能性があります。
    • 国民年金第3号被保険者資格の喪失
      これまで保険料負担のなかった国民年金の第3号被保険者(専業主婦/夫など)から、第1号(自営業者等)または第2号(厚生年金加入者)に変わります。
    • 世帯全体での負担増の可能性
      社会保険料負担により本人の手取りは減り、配偶者の手当も減ることで、一時的に世帯全体の収入が減る可能性があります。

  3. 手続きの手間
    • 加入時の手続きは主に会社が行いますが、扶養から外れる場合は、配偶者の会社での手続きも必要になります。

社会保険加入の手続きと今後の働き方

ご自身の状況に合わせて、今後の働き方を検討しましょう。

加入対象となった場合の手続き

社会保険の加入条件を満たした場合、以下の手続きが必要になります。

  • 勤務先での手続き
    • 基本的には、勤務先(会社)が必要な書類を準備し、年金事務所や健康保険組合に手続きを行います。
    • 従業員は、会社から求められる書類(マイナンバーカードのコピー、年金手帳または基礎年金番号通知書、扶養家族に関する書類など)を提出します。

  • 扶養から外れる場合の手続き
    • 配偶者など、これまで扶養に入っていた家族の勤務先で、「被扶養者異動届」などの手続きが必要になります。速やかに家族に伝え、手続きを進めてもらいましょう。

働き方を調整する場合 会社との相談

「壁」を意識して働き方を調整したい、あるいは積極的に加入したいと考える場合は、早めに会社に相談することが重要です。

  • 「壁」を超えないように調整したい場合
    • 相談のタイミング
      収入や労働時間が「106万円の壁」や「130万円の壁」を超えそうだと分かった時点で、早めに上司や人事担当者に相談しましょう。
    • 調整方法
      シフトを減らす、契約時間を見直すなど、具体的な調整方法について相談します。
      ただし、必ずしも希望通りに調整できるとは限りません。

  • 積極的に加入したい場合
    • 加入条件を満たしているか確認し、メリットを理解した上で、会社に加入の意思を伝えましょう。

  • 在宅ワークでの勤務時間管理の明確化
    • 特に「106万円の壁」の労働時間(週20時間)を意識する場合、在宅ワークでの正確な労働時間管理が重要です。
      勤怠管理の方法について、会社と認識を合わせておきましょう。

まとめ

在宅ワークでパートとして働く方の社会保険加入は、働き方や収入、勤務先の規模によって条件が異なります。特に「106万円の壁(従業員51人以上など条件あり)」と「130万円の壁」は、働き方を考える上で重要なポイントです。

社会保険への加入は、手取り収入が減るというデメリットがある一方、将来の年金が増えたり、万が一の際の保障が手厚くなったりする大きなメリットもあります。

ご自身のライフプランや家計の状況に合わせて、どちらが良いかを慎重に検討しましょう。
扶養内で働くことを希望する場合は、収入や労働時間を計画的に管理し、必要であれば早めに勤務先に相談することが大切です。

社会保険制度は改正されることもあるため、常に最新の情報を確認するように心がけ、不明な点は勤務先の人事担当者や、日本年金機構などの公的機関に問い合わせるようにしましょう。

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