【コラム】「家事の外注、しづらい…」その気持ち、分かります。罪悪感や抵抗感の正体と乗り越え方

毎日忙しく、やるべきことに追われる日々。
仕事、育児、介護… 様々な役割をこなしながら、終わりが見えない家事にも追われて、「もう限界！」と感じている方も多いのではないでしょうか。

最近では、家事代行サービスやハウスクリーニングなど、家事をアウトソース（外注）できる選択肢も増えてきました。
頭では「利用すれば楽になる」と分かっていても、なぜか一歩を踏み出せない…。
そんな「家事の外注しづらさ」を感じていませんか？

もし、あなたが少しでもそう感じているなら、それはあなただけではありません。
このコラムでは、多くの人が抱える「家事の外注しづらさ」の背景にある心理や社会的な要因を探り、その気持ちとどう向き合い、乗り越えていけばよいのか、一緒に考えていきたいと思います。

なぜ？「家事の外注」にブレーキがかかる理由

家事代行サービスなどの情報は目にするのに、いざ利用するとなると、心の中に様々なブレーキがかかってしまうのはなぜでしょうか。その理由を深掘りしてみましょう。

1. 「自分でやるべき」という罪悪感・思い込み

• 根強い「家事は女性（母親・妻）の役割」という意識
  • 社会や家庭の中で、無意識のうちに「家のことは女性がやるもの」という価値観を内面化してしまっている場合があります。
    「ちゃんとした主婦（母親）なら自分でやるはず」と考えてしまうのです。
    
    
• 完璧主義のプレッシャー
  • 「家事は完璧にこなさなければならない」という思い込みから、人に頼ることを「手抜き」や「怠慢」だと感じてしまうことがあります。
    
    
• 他者との比較
  • SNSなどで目にする「丁寧な暮らし」や、周囲の「頑張っている」人と比べてしまい、「自分だけが楽をしてはいけない」と感じてしまう心理も働きます。

2. 他人を家に入れることへの抵抗感・不安

• プライバシーへの懸念
  • 家は最もプライベートな空間です。そこに他人、特に見知らぬ人が入ることに強い抵抗を感じるのは自然なことです。
    「どこまで見られるのだろう」
    「散らかっていると思われたらどうしよう」といった不安がよぎります。
    
    
• セキュリティへの不安
  • 「鍵を預けて大丈夫だろうか」「留守中に何かあったら…」など、物理的な安全面での心配も、外注をためらう大きな要因です。
    
    
• ジャッジされることへの恐れ
  • 自分の家事のやり方や家の状態を、他人から評価されたり、批判されたりするのではないかという不安感。「こんな状態を見られたら、だらしない人間だと思われるかも」といった恐れです。

3. 経済的な負担・コストへの懸念

• 「贅沢品」という感覚
  • 家事代行サービスは、決して安価ではありません。
    「自分の時間を使えばタダでできることにお金を払うのはもったいない」
    「もっと他にお金を使うべきことがある」と感じ、贅沢品だと考えてしまうことがあります。
    
    
• 費用対効果への疑問
  • 「本当にその金額に見合った価値があるのだろうか？」
    「自分でやった方が早いし、お金もかからないのでは？」
    と、コストパフォーマンスに疑問を感じてしまうこともあります。
    
    
• 家計における優先順位
  • 限られた家計の中で、教育費や食費などに比べて、家事代行の優先順位を低く見積もりがちです。

4. サービス選びや依頼の手間

• 情報収集の煩雑さ
  • 多くの家事代行サービスが存在するため、どの会社が信頼でき、自分のニーズに合っているのかを調べるのが大変だと感じることがあります。口コミを読んだり、料金体系を比較したりするのに時間がかかります。
    
    
• 依頼内容を伝える難しさ
  • どこを、どの程度、どのようにきれいにしてほしいのか、具体的に要望を伝えることを面倒に感じたり、うまく伝えられるか不安になったりします。
    
    
• スケジュール調整の複雑さ
  • 自分の都合とサービス提供者のスケジュールを合わせる必要があり、その調整自体が新たな負担に感じられることもあります。

5. 家族の理解が得られない

• パートナーや同居家族の反対・無関心
  • 「家事くらい自分でやればいい」「お金がもったいない」など、家族、特にパートナーから理解を得られず、利用に踏み切れないケースも少なくありません。
    
    
• 価値観の相違
  • 清潔さの基準や、どの家事を負担に感じているかが家族間で異なり、「外注するほどではない」と判断されてしまうこともあります。

「しんどい」を手放すための考え方とヒント

では、これらの「しづらさ」を感じながらも、家事の負担を減らしていくためには、どのような考え方を持ち、どう行動すればよいのでしょうか。

1. 「完璧」を目指さない勇気

• 「まあ、いっか」の精神
  • 常に家がピカピカである必要はありません。
    「今日は疲れているから掃除は明日にしよう」「少しくらい散らかっていても大丈夫」と、自分を許す心を持ちましょう。
    
    
• 優先順位付け
  • 全ての家事を完璧にこなそうとするのではなく、「これだけは譲れない」という最低限のラインを決める、あるいは「週末だけしっかりやる」など、メリハリをつけるのも有効です。
    
    
• 自分の時間と心の健康を最優先
  • 家事よりも、休息や睡眠、自分のための時間、家族と笑顔で過ごす時間の方が大切だと意識を変えてみましょう。

2. 家事は「仕事」と捉え、外部リソースを活用する視点

• 家事は立派な「労働」
  • 賃金が発生しないだけで、家事は時間も労力も必要な立派な「労働」です。
    その労働を外部に委託することは、決して悪いことではありません。
    
    
• 時間とエネルギーの投資
  • 家事を外注することで得られるのは「時間」と「心の余裕」です。
    その時間を使って、他の仕事に集中したり、自己投資したり、家族との関係を深めたりできるなら、それは価値ある投資と言えるのではないでしょうか。
    
    
• プロの力を借りる発想
  • 病気になったら病院に行くように、専門的な知識やスキルが必要なことはプロに頼みますよね。
    家事も、自分だけで抱え込まず、家事代行サービスなどのプロの手力を借りるという発想を持ってみましょう。

3. スモールスタートで試してみる

• 「お試し」感覚で
  • 最初から定期契約を結ぶ必要はありません。
    多くのサービスで提供されている「お試しプラン」や「初回限定プラン」を利用して、まずは一度体験してみましょう。
    
• ピンポイントで依頼する
  • 最も負担に感じている家事を挙げてみましょう。
    例えば、お風呂掃除、換気扇の掃除、アイロンがけなどだけを単発で依頼してみるのも良い方法です。
    
    
• 短時間から
  • 最初は1時間～2時間程度の短い時間で依頼し、サービスの質や担当者との相性などを確認してみましょう。

4. 信頼できるサービスを見極める目を持つ

• 情報収集のポイント
  • 会社の設立年数や実績、損害保険への加入状況、スタッフの研修制度などをチェックしましょう。
    
    
  • 公式サイトだけでなく、第三者の口コミサイトやSNSでの評判も参考にします。
    ただし、情報の偏りには注意してください。
    
    
• 明確な料金体系
  • 料金体系が分かりやすく、追加料金の発生条件などが明記されているか確認しましょう。
    
    
    
• コミュニケーションの質
  • 問い合わせ時の対応や、事前の打ち合わせなどで、こちらの要望をきちんと聞いてくれるか、丁寧に対応してくれるかなども判断材料になります。

5. 家族としっかり話し合う機会を持つ

• 自分の「しんどさ」を伝える
  • なぜ家事が負担なのか、どれだけ大変に感じているのかを、感情的にならず具体的に伝えましょう。
    「手伝ってほしい」だけでなく、「外部サービスを利用したい」という選択肢も含めて相談します。
    
    
• メリットを共有する
  • 外注によって生まれる時間で「家族とゆっくり過ごせる」「イライラが減る」など、家族全体にとってのメリットを具体的に提示することも有効です。
    
    
• 協力体制を築く
  • 費用負担や、依頼する内容、頻度などについて、一方的に決めるのではなく、家族で納得できる形を話し合いましょう。

家事代行だけじゃない！負担を減らす他の選択肢

「どうしても人を家に入れるのは抵抗がある」「費用的に難しい」という場合でも、家事の負担を減らす方法はあります。

1. 便利家電など、テクノロジーの活用

• ロボット掃除機
  床掃除の手間を大幅に削減できます。
  
  
• 食器洗い乾燥機
  面倒な食器洗いの時間とストレスから解放されます。
  
  
• 電気調理鍋
  例）ホットクックなど
  材料を入れてボタンを押すだけで料理ができ、調理中の時間を他のことに使えます。
  
  
• 洗濯乾燥機、ドラム式など
  洗濯物を干す手間が省けます。

2. ネットスーパー・ミールキットの活用

• 買い物時間の削減
  重い荷物を持って帰る必要がなくなり、買い物の時間を節約できます。
  
  
• 献立の悩み軽減
  ミールキットを利用すれば、献立を考えたり、材料を計量したりする手間が省け、時短調理が可能です。

3.【重要ポイント】 家族内での分担見直し

• 現状の可視化
  まずは誰がどの家事をどれだけ担っているのかを可視化してみましょう。
  
  
• 公平な再配分
  年齢や能力に応じて、家族全員で家事を分担する体制を見直します。「手伝う」のではなく「自分ごと」として捉える意識改革が必要です。
  
  
• 感謝と協力
  お互いの頑張りを認め合い、感謝の言葉を伝え合うことも、良好な協力体制を築く上で大切です。

まとめ　自分を大切にする選択肢として「家事の外注」を考えてみませんか？

「家事の外注がしづらい」と感じる背景には、罪悪感や不安、経済的な懸念、社会的なプレッシャーなど、様々な要因が複雑に絡み合っています。その気持ちは決して間違いではありませんし、多くの人が共有している感覚です。

しかし、家事の負担に押しつぶされそうになっているなら、少し立ち止まって、自分自身の心と体の健康を最優先することを考えてみてください。

家事の外注は、「手抜き」や「贅沢」ではなく、時間と心の余裕を生み出し、より豊かに生きるための「賢い選択肢」であり、「自分を大切にするための一つの手段」です。

完璧を目指さず、スモールスタートで試してみる。
テクノロジーや他のサービス、そして何より家族の協力を得ながら、あなたにとって最適なバランスを見つけていくことが大切です。

このコラムが、あなたが抱える「しんどさ」を少しでも手放し、より軽やかに、笑顔で毎日を過ごすためのヒントになれば幸いです。